あつ子の本名は「淳子」と書く。座長の淳と同じ。
それでじゅうぶん。あつ子のすべてを表現している。
座長には妹さんがいるが、その妹さんから
「あつ子さんの方がわたくしより濃い血で兄と結びついているのではないかしら・・・。よかったわ」と安堵の笑顔でいわれたとき、あつ子は悟った。なにゆえに名古屋から九州は大分の湯布院くんだりまで来たのかを。
宿命。生きてこの世にあるということになじめない自分。
がしかし、足元にも及ばない超常な人が湯布院にいた。あたかも、デビルタワーに引き寄せられたリチャード・ドレイファス(未知との遭遇)のようにあつ子も座長に引き寄せられたのだ。
「この世にある意味?しゃらくさい!!座長がずぶとく野放図に唯我独尊であるかぎり、自分もこの世界にいてもいいのだ。」とつぶやくあつ子である。
ちなみに、接着剤がとびだし、真ん中が白濁したコンタクトレンズを1年と6月装着し続けた女があつ子である。